なぜ多くの人は一生懸命勉強しても上達しないのか


皆さんこんにちは、IMじゅんたです。お久しぶりです。

実は昨年の11月に、新しい挑戦として英語でチェスのコンテンツを作り始めました(YouTubeメルマガ)。それ以来、日本語の方になかなか時間を割けずにいます。

今は英語の方に集中していますが、いつか、日本語と英語の両方で文章を書いたり、動画を作ったり、配信をしたりしながら、好きなタイミングで大会にも出場する。そんな生活を送るのが私の夢の1つです。

今日の記事は、多くのチェスプレイヤーが上達を目指すときにぶつかる、ある問題についてです。


「毎日タクティクスを解いて、オープニングコースを勉強して、動画も見るし本も読む。でもレーティングはもう何ヶ月も伸びていません。何が間違っているんでしょうか?」

これは、上達を目指すプレイヤーからよく受ける質問のひとつです。

多くのプレイヤーに共通する問題は、勉強の内容が実際の対局で起きていることとつながっていない、という点です。その結果、勉強しているという実感はあっても、本当に必要なスキルは身についていきません。

この記事では、真剣な対局のあとに毎回自分に問いかけるべき、たった一つの質問でこれを解決する方法をお伝えします。


まずは、多くのプレイヤーが陥りがちな罠から見ていきましょう。

ドナルドという架空のプレイヤーを想像してみてください。大会と大会の間や、チェスクラブでの対局の合間、ドナルドにはルーティンがあります。

月曜日はオープニング、火曜日はタクティクス、水曜日はエンドゲーム…というように。毎日その時間を律儀に記録して、それだけで満足感を得ています。このルーティンは、チェスのあらゆる分野を網羅する一番論理的な方法に思えたから作ったものです。

でもそのどれも、実際の対局が彼に教えてくれていることから生まれたものではありません。


自分が本当に何を必要としているのかを知らないまま勉強すると、身につけた知識の多くは、盤上で実際に使えるものにはなりません。特に、これまで見たことのない局面ではなおさらです。

そして、チェスの対局は毎回、必ず新しい局面に出会うことになります。

今の時代、一生かけても消化しきれないほどのチェスコンテンツがあふれています。でも上達の基本原則は変わっていません。もっとも早く上達するプレイヤーとは、自分自身の対局から学ぶ方法を知っている人たちです。

才能のあるプレイヤーは、対局するだけで上達していきます。一局から吸収できる量が、他の多くのプレイヤーより単純に多いからです。でもそれは、実は隠れた弱点でもあります。彼らは意図的に学ぶ習慣を作る必要に迫られたことがないので、苦労してその方法を身につけてきたプレイヤーよりも、早い段階で伸び悩んでしまうことが多いのです。これはまさに、うさぎと亀の話です。うさぎは最初から先を行きますが、亀はうさぎが一度も築く必要のなかったものを築いていきます。


では、どうすればもっとうまくやれるのでしょうか。

すべては、ひとつのループに集約されます。

  • 真剣な対局をする(ラピッド以上、通して集中できている)
  • その対局が、何か(ミス、弱点、判断の誤り)を教えてくれる
  • それを教訓に変える
  • その教訓が、何を練習すべきかを教えてくれる
  • その練習が、次の対局での指し方を形作る

シンプルなループですが、これを一貫して回し続けている人はほとんどいません。小さくても着実な一歩を積み重ねていく、継続的な改善です。

何ヶ月も何年もかけて真剣な対局を積み重ねていくことで、多くのチェスの上達はこうして起こります。


このアイディアは、一局から得る一つの教訓よりもずっと深いところにつながっています。

対局中にどう考えるか、対局後どう振り返るか、どう練習するか、オープニングをどう改善するか、自信をどう築くか。チェス上達のあらゆる要素は、すべて同じこのループにつながっています。これらすべてがつながったとき、上達はもう偶然の産物ではなく、ひとつのシステムになります。

そして、そのすべての土台にあるのが、この質問です。

「直近の真剣な対局は、私に何を伝えようとしているのか?」


でも、この質問を知っていることは簡単な部分にすぎません。すべての対局のあとにこれを問いかけ、その答えを実際の指し方を変える練習に変換し、それを週から週へと一貫してやり続けること。ほとんどの人がつまずくのはここです。

オープニングの勉強も、パズルを解くことも、動画を見ることも、どれも役には立ちます。でも、それが今のあなたのチェスに本当に必要なこととつながっているとは限りません。

それを得るには、自分自身の対局を見て、そこから教えてくれることに取り組む必要があります。


例えば、私のOTBレーティングが1800〜1900くらいだった頃、対面でもオンラインでも数多くの大会に出場し、チェスの本も絶えず読んでいて、タクティクスを見つけるのは得意でした。

でも、自分より強い相手と対局すると、中盤でよくないマイナーピースを抱えたまま、うまく指されてしまうことがよくありました。悪いビショップを抱えたままだったり、マイナーピース全体が良いマスもないまま受け身になってしまったり。これには長い間苦しみました。

マイナーピースの理解は、一週間で直せるようなものではありません。だから私は、いつものように本の解説付きの棋譜を読む代わりに、数ヶ月間、マイナーピースだけに焦点を絞ることにしました。

片方の手を予想しながら棋譜を並べていくのですが、どの局面でも一度手を止めて、マイナーピースについて自分に問いかけるようにしたのです。

  • 自分のどの駒が悪いか?
  • 積極的に交換すべきか?
  • 次にどのマイナーピースを改善できるか?
  • 相手はどの駒を交換したがっているか?
  • このポーンブレイクが起きたら、どちらの駒が得をするか?

最初は苦戦しました。普段の考え方とは違ったからです。でも、自分が好きなプレイヤーの棋譜を並べ続け、常にマイナーピースに焦点を当て、彼らの指し手の裏にあるアイディアを考えるようにしました。

彼らが自分の予想していなかった手を指したときは、自分に見えていなくて彼らに見えていたものは何かを、必死に考えようとしました。時間が経つにつれて、それは駒の見え方そのものを変え、対局中の思考の質を高めてくれました。


自分の対局が教えてくれていることに視点を絞ると、勉強に方向性が生まれ、チェスのある特定の部分が向上します。そして、チェスのある一部分のレベルが上がると、それはチェス全体を底上げしてくれます。

では、自分の対局が何を教えてくれているのか、どうやって見つければいいのでしょうか。

それは、たった一つの質問から始まります。

次に真剣な対局を指したら、エンジンをオンにする前に、自分自身で棋譜を並べ直しながら、こう問いかけてみてください。

「この対局は、私が取り組むべき何を伝えようとしているのか?」


大切なのは、具体的なものを見つけることです。

例えば、静かな局面で時間を使いすぎるせいで、いつも時間切れ寸前になってしまう、というようなことかもしれません。

多くのプレイヤーは、こうしたパターンを2〜3個、対局の中に繰り返し抱えていて、それが何なのかをきちんと見極める時間を取らないために、いつも同じような形で負けてしまうのです。


真剣な対局のたびにこれを行うようになると、勉強はもうランダムなものではなくなり、あなたが本当に必要としているものを唯一知っている情報源、自分自身のチェスによって導かれるようになります。

シンプルに聞こえますが、これを一貫したプロセスとして続けられているプレイヤーはほとんどいません。1局分析しては、次の3局は飛ばしてしまい、また行き当たりばったりのコンテンツ消費に戻って、なぜ伸び悩んでいるのだろうと悩む。本当の効果が出るのは、自分のチェスの中でもっとも重要な部分を習慣に変え、そのサイクルを繰り返し続けたときです。

だから次に真剣な対局を終えたら、何よりもまず、こう問いかけてみてください。「この対局は、私に何を教えようとしているのか?」と。

名声への欲求ではなく、勤勉であるという習慣こそが、私たちに一つの仕事をやり遂げさせてくれる。同じように、現在という瞬間の活動ではなく、過去についての賢明な省察こそが、未来を守る助けとなるのだ。
―― マルセル・プルースト『花咲く乙女たちのかげに』(失われた時を求めて 第2篇)

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