本気度の高い試合を指そう


こんにちは!1通目のメルマガです。登録していただいてありがとうございます。競技歴25年以上のインターナショナルマスター、池田惇多(じゅんた)が読者の力となれるようなチェスの上達法や実践的なアドバイスをメールで定期的にお届けします。

今回伝えたいテーマは「本気度の高い試合を指そう」です。

いくつかの配信で「最近、この言葉を使うのが多いな」と感じたのでこちらでまとめようと思いました。


チェスの上達を目指す中でもちろん、実戦は欠かせません。

いくら

  • 動画を観ても
  • 本を読んでも
  • 問題を解いても、

試合をしなければそのインプットや練習を実力につなげにくいです。

その中でも、本気度の高い試合が特に大事です。

真剣勝負ほど、

  • 実力がはっきり出る
  • 相手も本気なので試合の質も高い
  • 不安や緊張との向き合い方も鍛えられる
  • 学んでいた定跡やプランを試す甲斐がある

など、利点が多いです。


この文章を読んでいるあなたは、

  • オンラインチェスの経験しかない方、もしくは
  • OTB(Over the board、対面)チェスの経験もある方かと思います。

OTBチェスの方が没入感が高く、PCやスマホの画面上でピース(駒)を操作するよりも実際にその場に出向き、五感を使うことで、全身全霊をもって戦うという感覚を持てると私は感じます(その分、負けもさらに堪えますが...)。

OTBプレイヤーはオンラインを「OTBに向けての練習」と感じるのに対し、オンラインプレイヤーにとってはオンラインの大会やマッチが1番の本番かもしれません。

※FIDE戦 = 国際チェス連盟FIDEが認可する大会で行われる国際公式戦

レート戦 = 実力を数値化して表す「レート」 を競い合う対戦

あなたがOTBプレイヤーでもオンラインプレイヤーでも、できるだけ本気度の高い試合を指すと良いです。

そういう試合ほど

  • 始めるハードルが高く
  • 負けはとにかく悔しく
  • 試すのが怖いかもしれませんが、

1つ1つの試合から吸収できるものも多いので、上達を目指しているのなら「今より本気度の高い試合を指せる場はあるだろうか」と考えてみましょう(もちろん、カジュアルにチェスを楽しみたい方も全然OKです)。


私の経験

私のチェス人生においても、「本気度の高い試合」を多く指すことで上達できたと確信を持っています。

オーストラリアで生まれ育った私は子どもの頃からOTBクラシカル(各プレイヤー、1時間や1時間半などの持ち時間が長い試合)を頻繁に指せる環境にいました。

指した試合の棋譜は2001年からパソコンにまとめているのですが、公式戦は今まで1,600試合以上指しています(うち、FIDE戦も1,000試合近く)。24年にわたり、毎年約70試合です。

  • 前回の大会から学んだもの
  • 大会後に取り組んだ練習や学んだスキル

を濃い実戦に常に投入できたおかげで、実力を伸ばすのに大事な

インプット→アウトプット→フィードバック

のサイクルを回しやすい環境でした。

日本でもインターナショナルマスターの称号を獲得したプレイヤーが何人かいますが、彼らも1番本気度の高い実戦の場であるFIDE戦(国際公式戦)を何百試合以上も指しています。マスターを目指している方は特に、できる限りFIDE戦に参加するのは不可欠です。


実戦の質

実戦においても量×質が大事ですが、この場合、「質」というのは「本気度の高さ」。集中していない状態で指す何十というオンラインの早指しの試合より、OTBで全力で指す1試合の方が得られる経験値は高いと私は信じています。

真剣勝負ほど「次の大会/マッチに向けて」というモチベが出るので練習や振り返りにも身が入ります。

例えば毎日同じレート戦を指すのも良いですが、知り合いとのトレーニングマッチやオンライン大会への参加も定期的に設けると、真剣勝負の経験値やそれがもたらすメリハリの恩恵を感じられるはずです。

オンラインだと、例えばチェスコムもしくはリチェスのどちらかを「真剣勝負の場」と決めて使い分けるのも手です。例えば、

  • リチェスで試合をする時はスマホの通知もオフ、1日何試合までと決めて各試合、振り返りを行う
  • チェスコムでは新しいものを試して楽しむ、もう少しカジュアルに指す、タクティクスやレッスンをこなす、などと試せます。

どう始めるか

毎日チェスに時間をかけていても、比較的カジュアルな試合しか指していないと、1試合1試合から吸収できるものが少ないかもしれません。

OTBを始める場合は、すぐ大会に出るのはハードルが高いのでまずはチェスクラブに足を運んでみる、対面でまず誰かと指してみる、で始めるといいかもしれません。

オンラインでも、大会に初めて出るのは怖いと思う人も多いでしょう。(2024年12月から定期的に、リチェスのクラブで日曜の午後に大会を開催しているので興味のある方はどうぞ)

もちろん、うまくいかないかもしれません。

でも、そういった1歩を踏み出すことでチェスの世界も広がり、真剣勝負を指すのに慣れていくとあなたのチェスも深まっていくはずです。

すでにOTBに参加している方も、次の大会を決めているとそれに向けて今日から何に取り組むべきかと、逆算して普段のルーティンも練りやすくなります。


あなたは普段のチェスで、「本気度の高い試合」を指していますか?


メルマガで扱ってほしいテーマやチェスの質問、悩みがあったら気軽にこのメールへの返信で書いてください。将来のテーマの候補としても参考にさせていただきます。

それでは、次回のメルマガで!毎週~隔週のペースでメールを届ける予定です。

じゅんた


113 Cherry St #92768, Seattle, WA 98104-2205

UnsubscribeUpdate your profile
↑購読停止   ↑メルマガ設定

じゅんたチェス通信

上達を目指しているプレイヤーや愛好家、250人にトレーニング法、実戦のノウハウや25年以上の経験から学んだことなど、チェスについてのメールをお届けしています。

Read more from じゅんたチェス通信

「迷ったら、より面白い方の手を選ぶ」 これは、最近の大会での2つ目の目標でした(1つ目の目標については先週書きました)。 この言葉、しっくりきますか? こない、という方もいると思います。正直に言うと、かなり曖昧に聞こえる言葉です。でも私にとっては、何を意味しているのか非常にはっきりしています。なので、これを筋道立てて説明してみます。あなたのチェスにも役立つかもしれません。 「面白い手」とは何か 複数の選択肢があって、どれを指すべきか迷ったとき、私は次のような変化や局面につながる手を選ぼうとします。 ワクワクする、興味を惹かれる、あるいは少し怖いと感じる変化や局面 一般的に、よりオープンで、柔軟で、ダイナミックな局面 これに対して、避けたいのは次のような手です。 双方の可能性・選択肢を狭めてしまう手 受け身すぎる手 これまで何度も指してきたような変化や局面に進む手 ワクワクしない手 「指したらどんな感じだろう」という興味が湧かない手...

先週は、大会でプレーする際にマインドセットの面で助けになったことについて書きました。今回は、この大会に向けて立てていた2つの目標のうち、1つ目についてと、それがどうなったかを書きます。 これらは、1回戦の1時間前に書き留めたものです: 40手時点で10分残す。 迷ったら、より面白い方の手を選ぶ。 目標 目標は、エンドゲームでもまだ考える時間が残るように、40手の時点で10分残すことでした。最初の10手が一番時間を使わないはずなので、今回の大会の持ち時間60分(+1手ごとに30秒加算)から逆算すると、目標とする時間配分は、10手で約50分、20手で37分、30手で23分、ということになります。 グラフにするとこんな感じで、この赤い線より上にいたかったのですが: でも正直に言うと、この目標には完全に失敗しました。90分+30秒の持ち時間では年々着実に改善してきていたのですが、今回はうまくいかず、6局の時間配分はこんな感じでした: 失われた時間を求めて...

週末、地元のFIDE戦に出場し、トップシードとして6戦6勝で優勝することができました。楽な大会ではなく、客観的に見て負けている局面も3局ありました。 結果 | Lichessで対局を見る 5回戦前。撮影: Forty Studio 世界一周から帰ってきた旅人のように、OTB大会のあとはいつも書きたいことで頭がいっぱいになります。今回は、大会前に何が起きていたかについて書きます。 決断 大会前はこんなポストをしていました。 今週末、地元のFIDE戦に出場することにしました。4月以来の大会。ビデオコースの制作でずっと忙しくて、あまり練習できていなかったので、出場を見送ろうかとも思っていました。でも、「怖いから」という理由だけで出場をやめるくらいなら、出た方がいい。人生は短かすぎる。 「まあ、それでいいんだ」というマインドセット 今回の大会に向けて、自分のコンディションが万全ではないかもしれないと分かっていたとき、私はこう考えました。 「もしかしたら、勝敗を分けるようなミスをするかもしれない。それでいい。ただ、一手一手、自分のベストを尽くすことに集中しよう」...